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2026.06.12

バス運転士の「もしも」に備えて、私たちができること(2026年6月号金沢版)

バス運転士の「もしも」に備えて、私たちができること(2026年6月号金沢版)

 地域の移動を支えるバス。日々、安全を第一にハンドルを握る運転士だが、運行中に急病などで運転継続が困難になる事態はゼロではない。そんな万が一に備えた「ドライバー異常時対応システム(EDSS)」の導入が進んでいる。その仕組みと、私たちが知っておくべきポイントについて、京浜急行バスを取材した。

異変を感じた際の非常ボタン

 対象車両には、運転席後方などに「非常ブレーキボタン」が設置されている。運転士に体調不良等の異変が生じた際、乗客が操作してバスを安全に停止させるためのもの。
​ 作動時の様子: ボタンが押されると、車外ではクラクションが鳴り、車内ではライトが赤く点滅。乗客に急停止を知らせるアナウンスが流れた後、自動でブレーキがかかる。
​ 判断と責任: 完全に意識を失ってからでは間に合わない場合もある。苦しそうにしている、ふらついた運転をしているなど様子がおかしいと感じたら、迷わず押そう。操作後、ブレーキがかかるまで約3秒の猶予があり、その間に運転士が解除すれば急停止はしない。故意の作動で事故やけがが発生した場合は法的責任を負う可能性もある。
​ 周囲との協力: 一人での判断が不安な時は「押しますよ!」と周囲に声を掛けたい。他の乗客も衝撃に備えることができ、車内全体の安全につながる。

停止した後の適切な行動

 バス停止後は、冷静な行動が求められる。
​ 通報と救護: 110番や119番へ連絡し、運転士の救命と状況報告を優先してほしい。いつも私たちを守ってくれる運転士の命を、今度は乗客が協力して救い出す意識が大切だ。
​ 安全確認: 慌てて飛び出すと後続車との接触の危険がある。外へ出る際は安全確認をしてから行動を。ドアが開かない場合は「非常コック」で手動開閉が可能だ。
取材に応じた野上さんは「重大事故を防ぐ“最後の安全装置”として導入しています。万が一の際には、車内のお客さまが車両を止められる仕組みがあることを知っていただき、安心して利用してほしい」と話す。装置作動時には強いブレーキがかかる。「走行中は手すりを握る」「停車まで席を立たない」という基本行動も、自分や運転士を守ることにつながる。車外の「青いステッカー」を目印に、今一度ボタンの場所を確認してほしい。