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2025.06.18

【この日なんの日】6月25日は「浜木綿忌」(2025年6月20日号横須賀・三浦・湘南版)

【この日なんの日】6月25日は「浜木綿忌」(2025年6月20日号横須賀・三浦・湘南版)

 6月25日は箏曲家・作曲家の宮城道雄(1894~1956)の忌日で、遺作の歌曲『浜木綿』から浜木綿忌と呼ばれる。神戸市生まれの宮城は8歳の時に失明。二世中島檢校に入門、箏・地唄の道に入る。家庭の事情で13歳で朝鮮(現韓国)に渡り昼は箏、夜は尺八を教えて一家を支え、14歳にして処女作『水の変態』を作曲。以後幅広い作曲活動を行い、1929年発表の『春の海』は世界的評価を得て、今も広く親しまれている。東京音楽学校教授、東京芸術大学講師として日本音楽の発展に多大な貢献を果たした。
 ハマユウ(浜木綿)/ハマオモトといえば横須賀市・三浦市などの「市の花」に指定されている。ヒガンバナ科の海浜植物で、分布の北限地「天神島臨海自然教育園」(横須賀市佐島)や市内各地でも夏になると白く可憐な花を咲かせる。
 宮城道雄著作の随筆集『心の調べ』には、「私は時々作曲に行きづまったりすると、葉山の家に行くことにしている」と書いている。8歳までに見たものと耳を頼りに作曲を続けていた宮城は葉山の別荘に来て自然の中で聞こえる鳥や虫、風、雨、波の音などで季節の訪れを感じていた。
歌曲『浜木綿』は和歌山県、白浜町の平草原(へいそうげん)に銅像と詩碑があることから、そちらが舞台らしい。

【参考図書】宮城道雄『心の調べ』河出書房新社(2006年8月30日初版発行)