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2022.07.06

小網代の森にハマカンゾウを見にいこう(2022年7月8日号横須賀・三浦・湘南版)

小網代の森にハマカンゾウを見にいこう(2022年7月8日号横須賀・三浦・湘南版)

 アカテガニやチゴガニなど、約2000種の生き物が生息する小網代の森では、これからの時期ハマカンゾウが見頃を迎える。もともと群生していたが、2011年の東日本大震災の高潮で失われてしまった。しかし、NPO法人小網代野外活動調整会議の地道な保全活動によって、昨年は約3500の花が次々に咲き、景色が一変した。

●見頃は8月中旬

 7月下旬から9月下旬までの約2ヶ月間、小網代の森のエノキテラス周辺では、鮮やかなオレンジ色のハマカンゾウが咲き乱れる。小網代の森は相模湾に面した約70㌶、全長約1・6㌔の広大な森。森の中央に浦の川が流れ、森林、湿地、干潟が残された関東圏で唯一の自然環境と言われている。引橋の三浦市市民交流センター(ベイシア三浦店2階)に小網代の森インフォメーションがあるので、下調べをしてから行くと理解が深まる。 
駐車場の前の道路を横断すると森の入り口。木道がついていて海まで変化の富んだトレッキング気分を味わえる。さまざまな生育環境により樹木はコナラ、ハンノキ、ジャヤナギと変化。湿地はハンゲショウ、ガマ、ミゾソバなどの群生が見られる。

●ハマカンゾウの大群落を作ろう

 ハマカンゾウは200株ほどの群落があったが、2011年大震災の影響を受け流された。2014年7月に森が一般解放されるとNPO法人小網代野外活動調整会議の皆さんにより、ハマカンゾウの復活のための取り組みが始まった。残った28株を企業の協力を得て2017年に800株まで増やすことに成功。地道な活動を続けて2018年には花の数が1000を超えた。

●目標はオレンジ色の絨毯のように

 2019年から小網代の浜一面にハマカンゾウを咲かせる「花さく小網代」と街の商店などにも植えてもらい「花さく三浦」にしたいと「花さく小網代花さく三浦 ハマカンゾウプロジェクト」を展開。
調整会議の副代表、石川紫穂さんは「小網代周辺は三浦一族の新井城があった地。落城した7月11日はグレゴリオ暦にすると8月19日で、開花数のピークは落城の日とほぼ重なります。また、キスゲ類は昔から『忘れ草』という名前で歌に詠われ、苦しみや悲しみを忘れさせると言われます。小網代の森の夏をオレンジ色の絨毯にするのが目標で、多くの人に楽しんでもらいたい」と語る。 
昨年は3500輪の花が咲いた。今年は5000輪以上咲くのではないかと期待を寄せている。

※保護区域なので動植物の採集は禁止。長袖、長ズボン、日陰が少ないので帽子持参。雨の翌日はぬかるみもあるのでヒール以外の靴で。飲食はエノキテラスだけOK 解放時間は7:00〜18:00  
※三崎口駅下車。油壺、三崎東岡、三崎港行きのバスに乗り「引橋」下車徒歩5分ほどで入り口

◆ハマカンゾウに関する問い合わせ:NPO法人小網代野外活動調整会議
moshapiko@gmail.com(石川)